「医工連携」とは? ~メリットや地方自治体の取り組み、助成金について~

2021.08.26

コラム

 

皆さんは、「医工連携」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

 

¨医療機器メーカーは、開発技術はあるも、製造技術がない。¨
¨医療機関は、薬はあるも、研究データがない。¨

 

など、本来はそれぞれ単独で事業しているため、横の繋がりはありません。
そこを連携させサービスを充実させる、さらには地域活性化に繋げるという目的が「医工連携」です。

 

地域活性化には、地方自治体の協力も必要です。

 

「医工連携」のメリットや、地方自治体の取り組み内容、また気になる助成金制度などについてご紹介いたします。

 

 

医工連携とは

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“医工連携(いこうれんけい)”とは、医療に関わる新技術の研究開発や、新事業の創出を図ることを目的として、大学などの教育機関・研究機関、民間企業の医療関係者と工学関係者が連携することをいう。理学系を加えて、「医理工連携」ともいう。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

とあるように、それぞれの単独分野、「医」の臨床現場(医学分野)と「工」のものづくり企業(工学分野)を連携(共同体と)させることで、医療機器の開発や新技術が早まり、結果として医療現場への導入を加速させることができる取組みのことです。

 

 

 

【製販ドリブンモデル】

 

このような連携の形は、製造販売企業が医療・福祉機器の開発・事業化の強力なドライビングフォース(駆動力、推進力)になる形であることから「製販企業ドリブン型(製販ドリブンモデル)」と呼ばれています。

 

 

 

【今後の日本】

 

世界でもトップクラスの寿命を誇る日本。
ますます¨医療の高齢化対策¨が重要になってきます。
「医工連携」で、医療現場へ新技術の導入が早まることにより、国民に最新医療が提供できます。

 

 

 

医工連携のメリット ~日本での現状~

コラム

 

こちらでは「医工連携」のメリットと、日本での現状についてご紹介します。

 

 

~「医工連携」のメリット~

 

■医学分野(医学部・歯学部・薬学部など)

「こんな機能を追加してほしい・・・」
「ここを改良したらもっと使いやすくなるのに・・・」
という希望が実現される。

 

 

■工学分野(理工学系学部・ものづくり企業など)

それぞれ持っている、独自の先端技術やノウハウを、表面化していない医療機器開発ニーズに生かせる。

 

 

■大学・研究機関

感染症や先端ゲノム医学分野など、研究データを活用できる。

 

 

■医療機器メーカー

これまでは、医療機器を製品化するためには、薬機法(旧・薬事法)の高い壁があり、大手の医療機器メーカーがほとんどでした。
医工連携により、専門家の助言が受けられるため、中小企業が参入しやすく、新規参入のハードルが下がる。

 

 

■地方自治体

医工連携が円滑に進むよう、製販企業、ものづくり企業、臨床機関、研究機関をつなぐ「HUB(ハブ)」となり、連携が促進できる。

 

 

~日本での現状~

 

 

 

【2025年問題】

日本では高齢化社会が急速に進み、いわゆる団塊世代が後期高齢者になる「2025年問題」も目前に迫ってきています。

団塊の世代の人口は、現在約800万人です。厚生労働省の試算では、この方々が75歳以上になると、現在約1,500万人の後期高齢者人口が、約2,200万人に膨れ上がるとのことです。我が国は、国民の4人に1人が75歳以上という、世界史上類を見ない超高齢化社会に突入することになります。

これにより、以下のようなさまざまな問題が発生することが予想されます。

 

 

【問題その1医療】

まずは、医療です。
近年、病院はむしろ減少傾向にあり、その一方で、医師不足や看護師不足が問題となっています。
このような状況で、若い世代に比べて医療を必要とする可能性の高い高齢者が増えていけば、医療現場が対応できなくなることが考えられます。

 

 

【問題その2介護】

次に、介護です。
家庭内に介護をしてくれる人がいない核家族化が進む中で高齢者が増えるため、より多くの介護サービス施設や人材が必要になることは明らかです。

 

 

【問題その3社会保障】

最後に、社会保障費です。
医療や介護に必要な社会保障費の増大も深刻な問題になることが予想されます。
国や自治体の財政を相当圧迫することが考えられます。

 

 

医工連携を後押しする地方自治体の取り組み 助成金など

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【医工連携を後押しする地方自治体の取り組み】

 

地方自治体などの行政が、医工連携のマッチングを探るコンソーシアム(共同事業体)といった施策の中心となり、医薬業界への異業種参入を後押しし、ビジネスとして成立する仕組みを作り上げて両者をつなぐ役割を担うような事例も増えてきました。

 

 

【地方の課題】

 

超高齢化、人口減少などは日本が直面する課題です。
地方にとってこの課題は、より深刻なものとなっています。
これらの課題の解決のためにも、各地方自治体と民間企業や大学・研究機関などと連携し、地域産業の活性化と競争力強化により、地方創生を推し進めることができます。

 

 

~助成金について~

 

高度なものづくり技術を有する中小企業・ベンチャー企業等の医療機器分野への新規参入や、医療機関との連携・共同事業を促進することで、わが国の医療機器産業の活性化と医療の質の向上を実現することを目的とした、金銭的な補助と事業の推進にあたっての助言を行う団体があります。

 

各地方自治体で、助成内容が異なりますが、今回は「東京都」を例にご紹介いたします。

 

 

□東京都医工連携HUB機構
https://ikou-hub.tokyo/

 

●対象となる助成事業者

臨床現場のニーズを踏まえた医療機器等の開発を行う、東京都内で実質的に事業を行なっている中小企業等で1または2に該当するもの
1.東京都医工連携HUB機構の会員登録をしている医療機器製販企業※
2.東京都中小企業振興公社の医療機器産業参入支援事業の会員登録をしているものづくり企業

 

 

●助成内容

【製品開発】
医療機器等事業化支援助成事業
5,000万円・2/3(下限:500万円)

医療機器等開発着手支援助成事業
500万円・2/3(下限:50万円)

 

【創業】
インキュベーション施設 整備・運営費補助事業
9000万円・2/3ほか

 

上記はほんの一例です。
それぞれの団体で申請基準など異なりますので、必ず団体や地方自治体のホームページなどでお確かめください。
※タイミングにより制度内容が変わっている場合や、制度自体が終了していることもあります。

 

 

 

 

まとめ

今回は「医工連携」についてご紹介いたしました。
このコラムで少しでも理解を深めていただけましたら幸いです。

 

なお、コスミックエムイーでは皆さまの医療機器製品の開発・導入などに向けたお手伝いを積極的に行っておりますので、ぜひ一度当社へご相談ください。

 

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