医療機器の設計・開発から製造・販売について その1

2021.10.11

 

「医療機器」と聞くと、病院などで使用される、治療や診断に使う機器類を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし実は、意外と身近にあるものが“医療機器”に属するものとして製造・販売されているということもあります。

今回は、そもそも医療機器とは何なのか?(その定義について)、そして医療機器の開発・設計・製造についてもご紹介したいと思います。

医療機器とは (定義と分類)

 

「医療機器」とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称;薬機法)で規制されている商品・製品の事を指します。

また、規制する対象範囲を明確にするため、医薬品医療機器法(以下、薬機法)において、

 

 

人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるものをいう。 

 【薬機法第2条第4項】

 

 

と定められており、昨今のコロナ禍において新型コロナウイルスの感染やその他疾病の予防に使用されるマスクについては、政令では定められていないため「医療機器」には該当しません。

そして医療機器には多くの種類があり、使用の目的、安全上のリスク、用途等の種類によって4クラスに分類がされています。

こちらでクラスごとの主な製品例をご紹介いたします。

 

<クラスⅠ:一般医療機器>

Ⅰ:不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが極めて低いと考えられるもの

弾性ストッキング、経腸栄養注入セット、ネブライザ、X線フィルム、血液ガス分析装置、手術用不織布、など

 

<クラスⅡ:管理医療機器>

Ⅱ:不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの

低周波治療器、X線撮影装置、心電計、超音波診断装置、注射針、採血針、真空採血管、フォーリーカテーテル、吸引カテーテル、補聴器、家庭用マッサージ器、プログラムなど

 

<クラスⅢ/Ⅳ:高度管理医療機器>

Ⅲ:不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの

粒子線治療装置、人工透析器、硬膜外用カテーテル、輸液ポンプ、自動腹膜灌流用装置、人工骨、人工心肺装置、多人数用透析液供給装置、成分採血装置、人工呼吸器、プログラムなど

 

Ⅳ:患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れがあるもの

ペースメーカ、冠動脈ステント、人工血管、PTCAカテーテル、中心静脈カテーテル、吸収性体内固定用ボルト、プログラムなど

 

上記、クラスⅠの弾性ストッキングについては“着圧靴下(ストッキング)”というと分かりやすいかもしれません。

筋肉をサポートすることで血行を改善し、足のむくみを軽減するために開発された靴下で、出産後に産婦さんが履くこともあります。

 

このように、医療機器とはいっても、その使用において高度な管理・技術が必要となる製品から、意外と身近にあるものまで、実はさまざまな製品が「医療機器」として世の中に存在しているのです。

医療機器を製造するにあたり必要なこと

 

前の目次では、「医療機器」についての定義や分類、製品例についてご紹介しましたが、こちらでは医療機器の「製造」についてご紹介したいと思います。

まず医療機器を製造するためには、薬機法により各都道府県から「医療機器製造業」の許可を取得することが定められています。

 

前の目次でご紹介した医療機器の定義として

 

“人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等”

 

となっていることからも分かるように、医療機器として分類される製品については身体への影響度が高いため、誰でも製造ができるという訳ではなく、製造をするための許可を取る必要があるのです。

 

また、「医療機器製造業」の許可だけでは、製造した製品をエンドユーザーに販売することはできません。

一般的に“医療機器製造業者”は、医療機器を医療機器販売業者に売るための許可・資格を持つ“医療機器製造販売業者”から委託を受け、製品の製造のみを行います。

そのため、『医療機器を製造し、販売業者に出荷するまで』が許可された業務範囲ということになり、医療機器の承認・認証申請をすることもできません。

医療機器の設計・開発業務について

 

“医療を支える仕事”として、まず「医師」や「看護師」等の医療従事者を思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、上記のような直接的な医療従事者でなくても、医療の現場で疾患の予防や病気の治癒に貢献できる仕事の一つとして、医療機器の設計・開発業務があります。

 

医療機器の設計・開発は、医師や看護師、検査技師やレントゲン技師などの医療技術者も安全で使いやすく、また、治療や診断時における患者の痛みの軽減や、治療・入院期間の短縮など、様々な負担を軽減できるようにと、医療現場における実際の「声」「要望」を取り入れながら行われています。

 

また、身近にある医療機器として、体温計や救急絆創膏、コンタクトレンズやメガネなど、普段の生活でよく使用するものも医療機器の領域で研究・開発がされており、医療機器の設計開発は“ものづくり”を通して、

人々の安定した生活や健康、そして命に深く関わっている責任とやりがいが非常に大きい仕事です。

 

「医療機器がなければ医療、そして生活は成り立たない」

 

と表現できるくらい、広く医療の現場を支えているのが医療機器であり、その医療機器を世の中に送り出すための第一歩からカタチにするまでの大きな部分を占める医療機器の設計・開発業務です。

 

医療機器の設計・開発業務は、電気・電子・機械系のバックグラウンドは必須となりますが、それだけではなく、人体に対する医学的・人間工学的な知見も必要となってきます。

 

そして、臨床ニーズの掌握から臨床データの蓄積、そしてニーズを叶えるための技術的な問題の解決法を探ることが医療機器の設計・開発には不可欠であり、日本国内においては薬機法という厳しい法規を踏まえたうえで設計・開発を進めていく必要もあります。

今回は「医療機器の設計・開発から製造・販売について その1」ということで、主に“医療機器の製造” “医療機器の設計・開発”についてご紹介いたしました。

 

専門性も高く、それぞれの業務において多面的な知識・経験を必要とするお仕事ですが、医療機器におけるものづくりは人々の生活を支える、といった点において大変重要な位置にあります。

 

なお次回は、「医療機器の設計・開発から製造・販売について その2」として、実際の設計・開発、また販売までの流れ等についてご紹介する予定です。

ぜひそちらも参考になさってください。

 

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