製品紹介/腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖用針 EndoneedleNEO 

2021.11.12

コラム

コスミックエムイーでは、1986年の会社設立以来、様々な分野の医療機器の開発・製造をしてきました。

今回は、製品紹介の1つ目として、数ある製品の中から、【腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖用針 EndoneedleNEO】についてご紹介します。

製品の情報をはじめ、開発に至った経緯など、今まであまり表に出ていない内容についても載せてみますので、ぜひ色々と知っていただけたらと思います。

腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖用針 EndoneedleNEOとは

コラム

手術における傷を最小限に止められ、そして術後の回復も早い「腹腔鏡下ヘルニア修復術」に対応するための腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖用針です。

 

本製品は、

 ・穿刺用針

 ・糸送り用針

 ・糸回収用針

といった上記3つの部品(針)から構成されています。

 

これらの針を連結して使用することで、穿刺針に縫合糸を内蔵した状態での運針と穿破が可能となり、また、縫合糸を針の内腔に収めることで、穿刺中に縫合糸が切れる可能性が低くなり、穿刺自体の邪魔をしないため、手術がスムーズに行えるようになります。

 

グリップ部分については、太く大きめの形状でありながら手のひらサイズのコンパクトな設計のため、安定性もあり操作性の向上を図られています。

 

 

もう1つの本製品の特徴として、刃先が鋭利であることもあげられます。

針先を鋭くしていることにより穿刺抵抗を軽減し、穿刺付近の臓器を痛める可能性が低いほか、深部臓器への誤穿刺や、腹膜損傷のリスクも軽減させることができます。

 

なお、本製品と同様の目的において使用されている競合製品については、刃先の形状が比較的鈍く、針も1本から構成されており、多くの点において【腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖用針 EndoneedleNEO】とは異なる設計になっています。

 

これらは使い手(医師)個々の技術や手法・好み、また、手術の状況によってそれぞれに向き・不向きがあります。

一方でメリットである部分が状況により逆になりうることもありますので、手術内容や、使う方ご自身にとって適切と思われる製品を選んでご使用いただけたらと思います。

【腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖用針 EndoneedleNEO】 開発のコンセプトと背景について

コラム

さいたま市で行われた医療フォーラムでの、さいたま市立病院に勤務される遠藤先生との出会いが本製品の開発のきっかけです。

遠藤先生は既に製品に関するアイディアを持っており、その開発には医療機器製造会社の協力が不可欠な状況でしたが、ニッチな市場のため中々手を挙げる企業がありませんでした。

 

弊社はそれまで、OEMなどで電子機器の製造のみを行っており、電子機器の心臓部にあたる電子制御部の開発を得意としていましたが、製造販売業者として消耗品を取り扱うことで売り上げの波をなくし、安定した利益の算出も考えていく中、当社としても全く新しい領域での事業として下記をコンセプトに遠藤先生と共に本製品の開発を進めるに至りました。

 

■コンセプト■

<その1>

穿刺の際に縫合糸が邪魔をしないこと、そして縫合糸が切れないこと

 →縫合糸を穿刺針の内腔に収める

 

<その2>

操作性の向上

 →グリップ部分を大きく設計する

 

以上2点を開発におけるコンセプトとし、設計・開発に取り組みました。

 

もともと、電子制御などの回路設計を長年にわたり強みとしてきた中、医療用針の開発をするということで、当時は事業を進めるにあたり社内では様々な意見もありましたし、多くの葛藤がありました。

また、製造販売業者として薬事申請をすることもこちらの製品が初めての経験だったため、色々な方々に協力をいただきながら申請のノウハウについても教わりました。

今ではその経験が活かされ、薬事申請代行も事業としてお客様にご提供できるまでになりました。

 

そして、腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖用針 EndoneedleNEOの販売が開始されて初めてのユーザー様は、遠藤先生のいらっしゃるさいたま市立病院でした。

実際に手術に立ち会わせていただき、自社製品が実際に使用されているのを目にした時には非常に感慨深いものがあり、また、会社にとって新しい分野の製品にも挑戦を続け、医療の現場でユーザー様、そして患者様にとって役に立つ製品を一生懸命開発していこうと気持ちを新たにした瞬間でもありました。

まとめ

腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖用針 EndoneedleNEOについてのご紹介、いかがでしたでしょうか。

 

本コラム、そしてホームページの事業案内にも載せておりますが、当社はもともと医療電子機器の開発設計、製造、修理などを強みとして様々な製品の開発に携わり、医療機器の開発・設計技術を磨いてきた当社が、全く新しい医療製品の分野に挑戦するきっかけとなったとても思い出深い製品であります。

 

また、今回の製品開発経緯こそが、まさに我が社が推進する「医工連携」そのものだと感じています。

 

 「こんな製品があったら良いのに…」

 「この課題をクリアできる製品が造れないものか…」

 

といった、医療現場や患者様の生の声、そしてアイディアはたくさんあるはずです。

そのアイディアを、当社の技術と経験で医療機器として実際に製品化できるようしっかりとお手伝いいたします。

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