医療機器のOEM/ODMについて

2022.10.28

コラム

高齢化や慢性的疾患の患者が増加傾向にある医療現場。

あらゆる分野の技術を取り入れた新しい製品開発が求められる医療機器業界では、製造業におけるビジネス形態の一つ、OEM/ODMが重要な位置付となってきています。

 

そこで今回は、医療機器のOEM/ODMについてのご説明と合わせて、今後の医療機器OEM/ODM市場、そして医療機器業界参入についても解説していきたいと思います。

医療機器のOEM/ODM

製品の製造を他社へ委託するOEMとODMは、医療機器をはじめ、家電や携帯電話、自動車、そして食品など多くの開発・製造の場で採用されています。

「OEM」そして「ODM」はアルファベットが1文字違うだけで多くの共通部分がありますが、メリットやデメリットは異なります。

 

ではここで、OEMとODMの違いについてご紹介しましょう。

 

 

 

■OEMとは?

 

“委託者のブランドの製品を「製造」すること”

 

また、実際に製造を行う企業を指す場合もあります。

 

OEMは、製造技術・施設を持たない企業やメーカー等が、生産技術部分をおぎない自社ブランドを市場に展開するために利用することが多く、委託者にとっては、生産ラインへの設備投資が不要であり、製品の開発に集中できる点が非常に大きなメリットです。

受託者側にとっても製造ラインを無駄にすることなく自社の製造技術向上にもつながるというメリットがあります。

 

 

 

■ODMとは?

 

“委託者のブランドの製品を「設計・製造」すること”

 

また、実際の設計・製造企業を指す場合もあります。

 

OEMの場合は、製造する製品の開発・設計は委託者側が行い、受託者は「製造のみ」を行いますが、ODMの場合は、製品の開発・設計から製造、また、その後の販売まで一手に担うこともあります。

 

ODMはOEMの業務範囲にプラスαで受託側が対応する範囲が広がり、より高度な知識や管理体制が求められます。

 

 

なお医療機器の場合は薬事申請を必要とするケースが多く、その場合はOEM/ODM両方とも受託者が代行して行うケースが一般的なため、委託者側は製品の立案・販促に注力することが可能となります。

今後の医療療機器市場とOEM/ODM

冒頭でも少し触れましたが、現在の日本は高齢化が進み、そして慢性疾患を抱える患者数についても増加傾向にあるといわれています。

 

総務省の統計からは、今後20年のうちに高齢者の割合が人口の35%を超え、また、その中の80歳以上の人口が現在の10%未満から14%に増えるとも推計され、このような高齢化に伴う患者数・施設数増、また、予防的医療の普及などもあり、今後はますます医療機器の需要も増えることが見込まれています。

 

このような背景から、医療機器製造業においても新しい医療機器の開発ニーズが高まることが予想され、各社の技術力向上や開発力の向上に備えなければなりません。

 

しかしながら、新しく医療機器の業界に参入するには、以前のコラムでもお伝えしたように多くのハードルが存在します。

 

例えば・・・

 ・「医療機器製造販売業許可」

 ・「医療機器製造業登録」

 ・品目毎の承認、認証、又は届出(薬事申請業務)

 

等ですが、これらを取得~実施するには相応の知識と時間、環境が必要とされます。

 

そこで活躍するのが、今回ご紹介している医療機器の「OEM」「ODM」です。

医療機器の製造販売許可や医療機器製造業登録をしていない企業が、専門知識と技術を持つ受託先とOEM・ODM契約を結ぶことで、持っているアイディアの製品化が可能になります。

 

それでは、医療機器業界への新規参入について、ニーズも含めて次の目次でもう少し詳しく解説していきましょう。

医療機器のOEM/ODMで医療機器業界への参入を目指しませんか?

医療機器市場では、日本のものづくりの技術を最大限に生かした新しい医療機器の開発に期待が寄せられています。

 

今後の医療現場では、日本の高いロボット開発技術や画像診断技術を応用した「手術支援機器」や「画像診断機器」また、小型・軽量化の技術を活かして「従来の医療機器を在宅用医療用へ改良する」などの製品化技術が求められており、精密機器製造や機械制御、加工技術等において高い技術を持つ企業がOEM/OEMを利用し今まで専門外であった医療機器業界へ参入することが可能となれば、医療機器業界全体が底上げされ、日本の医療機器レベルが格段にアップしていきます。

 

医療機器業界参入のハードルとなる「製造環境の確保」や「医療・薬事知識」に関しては、医療機器開発・製造業の知識・ノウハウを有する受託先を選ぶことで解消されるため、自社の技術を医療業界へと広げていく上で、OEM/ODMを活用は非常に有益なビジネスプランです。

 

とはいえ、実際に医療機器を上市する際には、業界市場動向の把握に始まり販路開拓、医療従事者との細かな連携、また、知的財産の権利の取扱い等といった別の課題も残っており、ただ“医療機器製造技術”があるだけでは委託者のサポートが十分にできないという実情があります。

 

その点においては、「医工連携」という、

 1. 医療機関

 2. メーカー、ものづくりの会社

 3. 大学や研究機関・自治体等

の、各分野が連携し製品化を進める仕組みを取り入れることで、こちらもしっかりとカバーしていくことが出来るようになるのです。

 

このように、OEM/ODMを利用し医療機器業界へ参入する際には、医工連携の仕組みについてもセットで利用を検討していくようにすると、より安心して取り組んでいくことが可能になります。

 

 

 

まとめ

新規参入が難しいと考えられがちな医療機器業界ですが、今回ご紹介したOEM/ODMの活用、そして医工連携の仕組みによる更なるサポートを合わせることで参入環境の整備が実現します。

 

当社では、上記目次でご説明した医工連携についても積極的にサポートを行っており、医療現場の生きた声と、それを形に出来得る企業様をつなげ、円滑に製品化するためのお手伝いをしておりますので、OEM・ODM、また、医療機器業界への参入についてご関心・ご興味のある企業様はぜひお気軽にご相談ください。

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