2025.06.30
医療機器の輸入・販売は、市場ニーズの高まりとともに異業種からの参入も増えています。
しかし、この分野は薬機法など専門的な法規制が多く、手続きの複雑さが大きな壁となっているのも事実です。
今回は、法人が医療機器輸入を始めるにあたり押さえておくべき法規制の基礎、必要な許認可や手続きの流れ、そして許可保持業者との連携によるスムーズな参入方法までをわかりやすく解説します。
医療機器事業への新規参入を検討している企業の皆様の参考になれば幸いです。
医療機器の輸入を法人として行う際に、まず理解しておきたいのが「薬機法(旧・薬事法)」です。
薬機法とは、医薬品・医療機器等の品質、有効性および安全性を確保するための法律で、輸入から販売、製造、流通に至るまで厳格な規制が設けられています。
■医療機器のリスク分類について
医療機器は、その使用目的や人体への影響度に応じて分類されています。
具体的には、「一般医療機器(クラスⅠ)」「管理医療機器(クラスⅡ)」「高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)」の3段階に分類されており、リスクが高くなるほど、必要な手続きや審査も厳格になります。
例えば、ペースメーカーや人工関節といった体内に長期使用される機器は「高度管理医療機器」に分類され、第三者機関(登録認証機関)による認証やPMDA(医薬品医療機器総合機構)への申請が必要になる場合もあります。
また、輸入する法人には「外国製造業者認定」や「製造販売業許可」といった各種の許認可取得が求められます。
これらは製品の種類によっても異なり、実務には専門的な知識と豊富な経験が欠かせません。
法人が医療機器ビジネスを始めるにあたっては、まず薬機法の基本的な構造と、製品ごとのリスク区分、必要な許認可の種類について体系的に理解しておくことが重要です。
これを知らずに輸入手続きを進めると、製品が通関できなかったり、販売できなかったりといった大きなトラブルにつながりかねません。
まず、医療機器を法人として輸入・販売するには、いくつかの法定許可を取得しなければなりません。
主に必要とされるのは、
・製造販売業許可
・外国製造業者認定
・製造業登録
・QMS適合性調査
などです。
■責任者の配置
たとえば「製造販売業許可」を取得するためには、専任の「総括製造販売責任者」「品質保証責任者」「安全管理責任者」の配置が必須で、これら薬学・理工系の学歴や実務経験が必要とされる場合も多く、容易に取得できるものではありません。
さらに、組織全体の品質管理体制を示す「QMS(品質マネジメントシステム)」に適合していることも求められます。
■外国製造業者認定
また、海外製医療機器を輸入する場合は、「外国製造業者認定」を受ける必要があり、現地製造工場の製造管理体制や品質保証体制などについて、日本の基準に基づいた申請・審査が求められます。
さらに、輸入後の保管・流通や不具合時の対応を含めた安全管理体制も重要なチェックポイントとなります。
このように、これらすべてを法人が自社で整えるのは非常にハードルが高く、新たに社内に専門人材を採用・育成するとしても、申請準備から認可取得までに1年以上かかるケースも少なくありません。
また、許可を取得しても、その後の更新対応や法改正への対応など、継続的な運用負担が伴うため、医療機器の輸入について多くの法人が参入に際し不安を感じているのではないでしょうか。
そこで注目すべきなのが、「すでに許可を保持している企業との連携」により、スムーズに事業をスタートさせる方法です。
次の目次で、その活用法について具体的にご紹介したいと思います。
医療機器ビジネスへの新規参入を目指す法人にとって、薬機法対応や各種許可取得のハードルは非常に高いものです。
こうした課題をクリアするために有効な手段として注目されているのが、「許可保持業者との連携」です。
許可保持業者とは、すでに製造販売業許可や製造業登録、外国製造業者認定など、薬機法上の必要な許認可を有しており、第三者の医療機器事業参入を支援できる体制を整えている企業を指します。
自社で製造販売業許可を取得していない法人であっても、許可を持つ企業に輸入・製造・販売を委託することで、薬機法上の要件をクリアしながら国内での事業展開が可能になります。
また、許可保持業者は薬機法に関する知見だけでなく、QMS体制の運用、PMDA対応、製品表示・添付文書の作成、輸入通関や保管管理など、あらゆる関連業務に精通しているため、法規制を遵守しながら、必要な手続きや環境の整備を一括でサポートしてもらえる点も大きなメリットです。
このように、許可を保持している業者との連携を活用することで、専門人材や複雑な管理体制を自社で抱えることなく、安心して医療機器事業に参入することができます。
「専門知識がなく不安」「何から始めればよいかわからない」といった課題を解決するために有効かつ身近な手段として選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
医療機器事業への参入には、複雑な法規制と煩雑な手続きがネックとなりますが、専門知識を持つ許可保持業者と協力することで、自社の負担を最小限に抑えながら、スピーディーに事業を始めることが可能です。
正しい知識と経験を持つ支援先を見極められるよう、早い段階から準備を進めましょう。
株式会社コスミックエムイーでは、医療機器輸入に関する実務から薬機法対応、医療機器の設計・開発・製造、OEM/ODMまで一貫してサポートが可能な体制を整えています。
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