「QMS省令」そして「ISO13485」とは?  医療機器製造販売に欠かせない知識をわかりやすくご紹介

2023.01.13

コラム

「品質規格」または、「品質管理マネジメント」や「QMS」という言葉を見たこと、耳にしたことはありますでしょうか。

これらは主に、製造業や建設業など、“ものを造る”業界において、生産する製品やサービス品質などの向上を目的に行う仕組みを指すものです。

 

これらは医療機器業界へ参入を検討する皆さまにはぜひ知っておいていただきたく、今回こちらのコラムで分かりやすく解説していきたいと思います。

まずは「ISO13485」について

~ISO13485とは~

はじめに、「ISO13485」とは何か?についての解説から始めます。

 

「ISO13485」とは、“医療機器の安全性と品質の維持”を目的として制定された、医療機器に特化した国際的な品質マネジメントシステムの規格です。

安全性と品質の高さにおいて一定基準を満たし製造・管理されている医療機器をお客さまへ提供するための工程を確実に管理するために作られた仕組みです。

 

「ISO」と聞くと、よく見聞きするのは「ISO9001」の方ではないでしょうか。

どちらも国際規格の品質マネジメントシステムであることは同じであり、品質管理・継続的な改善に重点をおくなどの共通点は多いのですが、「ISO9001」は製造業からサービス業まで、あらゆる業種に対応できる内容であり、医療機器にとって最も重要である安全性を確保しきれないという不安要素がありました。

 

そこで「ISO13485」は医療機器の設計・製造を行う組織に特化した内容の規格として、ISO9001を軸に以下のような、医療機器の安全性や品質を確保するにあたって必要となる要求事項が追加された内容になっています。

 

・各種リスクマネジメント

・製品のトレーサビリティの確保

・市販後調査および安全管理

・製品の特性に応じた固有の要求事項

 

このように、「ISO 13485」には医療機器の設計・開発、製造、販売、市販後の対応において、手続きや遵守すべき事項が記されています。

「ISO 9001」はいかなる規模・業種の組織であっても適用が可能で、また認証についても任意ですが、医療機器業界でビジネスを行う際に「ISO13485」の認証は製品の有効性、安全性を担保するためには必要であると考えておくべきでしょう。

医療機器QMSについて詳しく解説

~QMS省令とは~

「QMS」 とは、「Quality Management System=品質管理監督システム」の略で、QMS省令とは厚生労働省令第169号を指します。

この「QMS省令」は目次01でご紹介した医療機器に特化した医療機器の品質マネジメントシステム「ISO13485」を基準として、日本独自の薬機法の規定をふまえて作られており、現在の医療機器の承認・認証における製造管理、品質管理の審査の基準となる省令です。

 

薬機法の改正に伴い、平成26年にQMS省令の内容も変更されています。

改正後の新しいQMS省令では、医療機器の製造販売承認や、製造販売認証の要件として「QMS省令」の基準を満たす重要性が大幅にアップしました。

例えば、適合調査が「製造所ごとの調査」から、「製品の製造工程単位」での調査に変わるなど、より一層厳しい要件となっていることからもお分かりいただけるかと思います。

 

また、改正前は製造業者のみが対象となっていたものが、改正後のQMS省令では製造販売業者まで適用範囲が広がっています。

そして、現在の薬機法では「ソフトウエア」も医療機器として分類されるようになりましたので、医療機器向けのソフトウエア開発業者もQMS省令の基準を満たすことが必要とされています。

更にISO13485が2016年に改正されたことによりQMS省令も令和3年3月に改正されました。医療機器の製造業者、製造販売業者は令和6年3月までにこの新たに改正されたQMS省令への対応を完了しなければなりません。

 

~QMS省令とセットで覚えておきたい「QMS体制省令」について~

QMS体制省令とは、QMS省令を遵守するために必要な会社組織を運用体制について定めたもので、主に「組織の体制整備」そして「資格要件に応じた適切な人員配置」から構成されています。

 

QMS体制省令に関しても、第一種許可から第三種許可まで、医療機器製造販売業許可における許可要件となっており、医療機器の製造・販売をする際は必須の要件です。

医療機器業界への新規参入に必要なQMS構築をスムーズに進めるために

医療機器業界は近年も継続的に成長を続けています。

そして今後も、慢性疾患の発生増加や高齢化、発展途上国における医療意識の定着などを要因として、拡大を続けていくと予測されています。

 

このようなことから、他業種からの医療機器市場参入のニーズがより一層高くなることが考えられます。

しかしながら医療機器の製造・販売においては、安全性と有効性確保のために薬機法によって厳しく規制されているため、参入に当たってはクリアしなければならない工程がいくつかあるのも事実で、なかなか新規参入に踏み切れないという企業様も多いのではないでしょうか。

 

そこで検討いただきたいのが「薬事・QMSのアウトソーシング」です。

専門知識やノウハウが必要となる各種登録や申請、調査、そしてQMSの構築において、大まかな要点は理解をしておき、そして専門的な部分については上手にアウトソーシングを利用することで、スムーズに新規参入やQMSの構築を実現できます。

 

そこでこちらでは、参考としておおまかな医療機器製造販売のフローと要件についてご紹介していきましょう。

 

~医療機器製造販売(製造)のフローと要件~

1. 製造販売業の取得or製造業の登録

国内で医療機器の製造販売を行う際は「製造販売業の取得」を行い、製造のみを行う場合は「製造業の登録」を行います。

 

2.  QMS構築

目次2でご紹介した、厚生労働省令第169号が定める「品質マネジメントシステム(Quality Management System: QMS)」を構築します。

医療機器の一連の設計開発・製造・出荷・販売を行うためにはこちらも必ず必要になります。

 

3. 医療機器の「届出」「認証申請」「承認申請」

製品の設計開発、製造の準備が完了次第、医療機器のクラス分類(医療機器がもつリスク度合いによってⅠ~Ⅳの分類があります)に準じ、医療機器の「届出」「認証申請」「承認申請」を行います。

 

4. QMS 適合性調査  ※「3.」において医療機器「認証申請」または「承認申請」にあたる場合

QMS 省令に則した製造および品質管理が行えるかどうかを判断するための適合性調査があります。

「認証申請」の場合は登録認証機関によって行われ、「承認申請」の場合はPMDA(医薬品医療機器総合機構) によって行われます。

 

5. 製造・販売

3.の申請が通り、またQMS適合性調査にも合格した段階ではじめて医療機器の製造・販売へと進むことができます。

 

 

このように、医療機器の上市までの道のりには数多くのステップが存在しますが、医療機器の製造・販売における専門知識を持った会社と一緒に進めていくことで、皆さまが懸念されているご不安はほぼ解消されスムーズで確実な医療機器の上市が可能になりますので、ぜひ一度アウトソーシングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

もともと製造業にはISO9001の規格が定着していますので、医療機器特有の要項における「対処方法」についてクリアできれば、医療機器だからといって新規参入のハードルはさほど高くないことを感じていただけるかもしれません。

その「対処方法」については、当社の今までの経験とノウハウでしっかりとサポートさせていただきます。

ぜひ、皆さまが持つものづくりの技術を医療機器業界で活かすべく、当社へご相談いただけたら大変幸いです。

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