医療機器の製造に深く関わる「薬機法」

2021.11.01

コラム

医療機器の製造には、「薬機法」が関係しています。

医療機器、医薬品、医薬部外品、化粧品等を扱う事業者は「薬機法」という法律に従わなければなりません。
良い製品を製造しても、薬機法を知らなかったばかりに『法律違反』となっては大変です。

法規制というと難しく感じるかもしれませんが、「薬機法」の基礎知識や、なぜ医療機器に「薬機法」が関係しているのか等をこちらでご紹介しますので、ぜひ知識を深めてください。

薬機法とは?

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薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言います。

 

医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を確保するほか、製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めたものであり、医薬品等を製造、販売、広告する際には、必ず関わってくる法律です。

 

注意したいのは、薬機法は、医薬品や医療機器だけでなく、医薬部外品、化粧品などの定義も定め、健康食品の規制にも活用される点です。

 

【旧・薬事法】

2014年11月25日「薬事法」が改正され、「薬機法」と名前が変更されました。

薬事法という名称が使われたのは、戦時中の昭和18年が初めでした。

それから71年にも渡って使用されてきた法律名が改称されたのは、平成の大改正と言われています。

 

【改称の理由】

「薬機法」への改称ポイントは、次の3点です。

  • 医療機器の承認・許可に係る規定を、医薬品の規定から独立させること。
  • 再生医療等製品を、新たに規制対象に加えること。
  • 安全性等に係る規定の強化、明確化を図ること。

 

【医療機器を独立させる理由は?】

これまで医療機器は「医療用具」と呼ばれ、カテーテルなどの医療用品、手術用メスなどの鋼製小物、聴診器などの「用具」が主でしたが、昨今の技術進歩により、心電計やペースメーカー、CT、MRIをはじめとする電子医療機器MEが次々と登場し、「用具」ではなく「医療機器」がふさわしい時代となりました。

 

消耗品の医薬品と異なり耐久資材である医療機器は、レンタル業の登場や、販売後のメンテナンス業なども生まれ、もはや医薬品に準ずる規定では対応ができなくなり「医療機器の承認・許可に係る規定を、医薬品の規定から独立させる」ことになりました。

薬機法の目的と規制対象、その定義について

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薬機法の目的は、主に以下の3点です。

1.保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止

→医薬品等を安全に使用できるために必要な規制を行うこと

 

2.指定薬物の規制

→指定薬物(危険ドラッグに含まれる成分等)の規制を行うこと

 

3.医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進

→医薬品等の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることによって、保健衛生の向上を図る

 

【規制対象】

薬機法の規制の対象は、厚生労働省が発表している法律、第1条の通りです。

 

■第1条 

この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

※引用:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 

 

薬機法の規制の対象は以下5つが該当し、それぞれの定義については、薬機法第2条に記載があります。

 

・医薬品

・医薬部外品

・化粧品

・医療機器

・再生医療等製品

 

  • 健康食品・サプリメント、健康・美容器具などはこの5つに該当しないため、直接的な法律による制限は受けません。

しかし、医療品のような効果を訴求するなど、薬機法に抵触する表現をすることは禁じられています。

 

【医療機器の定義】(第2条4項)

この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、

又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるものをいう。

 

  • 具体的には、ペースメーカー、人工関節、超音波画像診断装置等がこれに該当します。

 

薬機法違反による罰則の内容と違反をしないためのポイント

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薬機法は2021年8月1日から一部改正により、新たに課徴金制度が加わりました。

これまで定められていた、虚偽・誇大広告違反時の罰金200万円以下に加えて、違反行為によって不当に得た利益から算出した金額を課徴金として追加徴収することができるようになりました。

 

~課徴金制度の導入経緯は?~

近年さまざまな業界でEC化が進み、法人だけでなく個人でもECへと参入しやすくなり、化粧品や健康食品などの薬機法に関わる事業でも、利益追求を第一とする事業者や薬機法上の許可がない事業者が出現するようになりました。

 

こういった事業者は、薬機法上の許可がない事業者であることも多く、許可取り消しなどの行政処分を実行することができませんでした。

 

そこでこういった違反行為を行う事業者への抑止力として、アメリカやEUではすでに取り入れられているような、単なる罰金ではなく違反行為によって得た利益の接収を含めた罰金や制裁金制度を、日本でも「課徴金制度」として導入されました。

 

 

~薬機法規制対象表現例~

ガンに効く、高血圧予防になどの表現はもちろんですが、体力増強、疲労回復、便秘改善なども対象になるので注意が必要です。

 

体質改善や老化防止など身体の変化や医薬品的な効能効果を暗示させるものは、すべて取締り対象です。

特定保健用食品・栄養機能食品も認められているもの以外の表現は、今後さらに厳しくなるでしょう。

 

 

■薬機法に違反しないためのポイント

ポイント1:違反広告の定義とガイドラインの確認をする

→厚生労働省が定めているガイドラインの確認をしましょう。

 

ポイント2:自社内で広告ガイドラインの作成をする

→代理店、制作会社が違反しないよう社内で広告ガイドラインを作成・共有することが大切です。

 

ついつい効能効果を宣伝したくなりますが、薬機法のガイドラインでしっかり確認が必要です。

まとめ

「薬機法」についてのご紹介、いかがでしたでしょうか。

医療機器製品の開発・製造には薬機法をクリアする必要がありますが、弊社は薬機法を熟知しておりますので、薬事申請に関する対応の一切をお任せいただけます。

薬機法のガイドラインでお困りの会社さまはぜひ弊社へご相談を。お問合せをお待ちしております。

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