2023.07.31
美容機器と医療機器の境界線について、その違いを理解することは新たなビジネスフィールドに挑戦するうえで非常に重要です。
本コラムでは、美容機器と医療機器の違いを探りながら、美容機器を医療機器へステップアップする際の重要なポイントについて解説します。
広告表現の制限、新規参入にあたり適切なパートナーシップの必要性など、大切な情報を一通り説明しますので、医療機器市場への進出を計画している企業の皆様、ぜひ効率的なビジネス展開のため参考としていただけたら嬉しいです。
美容機器とは、その名の通り美容のための機能を持つ電子機器のことを指します。
現在は家庭においても、日常のスキンケアやボディケアを目的とし、美しさを追求するためのツールとして多く利用されています。
美容機器の種類は多岐にわたり、美顔器、EMS(電気筋肉刺激)機器、超音波頭皮ケアブラシ、マッサージ用ローラー、イオン導入器、脱毛器などがあります。
特に美顔器は、美容機器の中でも大きなシェアを持つ商品で、その種類と機能は多種多様です。
温熱効果を利用して毛穴を開き、クレンジング力を高め、肌の汚れを効果的に取り除くことができるもの、また、超音波やイオン導入といった機能を備えた、美容成分の肌への浸透を高めるものなどがあります。
さらには、LEDライトを用いた肌質改善などの効果が期待できる商品も開発・販売されています。
そしてこれらの美容機器の中でも、「美容機器」として販売されているものと、「医療機器」として分類され登録・販売されているものがあります。
同じ美容目的として利用されるものですが、美容機器と医療機器の間には、その使用目的や規制など、明確な違いが存在します。
これらの違いを理解することは、美容機器を医療機器としてステップアップさせ、登録・販売する際に非常に重要となりますので、次の目次でその詳細について探っていきたいと思います。
美容機器と医療機器の間の違いを理解する上で、特に重要なのが、それらが薬事法(薬機法)の規制対象となるかどうか、そして広告的な表現にどのような制限があるかという点です。
美容機器は基本的に美容目的での使用を前提としており、医療機器ほど厳しく規制されません。
その一方で、広告表現には一定の制限があります。
例えば・・・
「肌質を改善します」
「小顔効果」
「シミを薄くする」
「肌の白さをよみがえらせる」
「血行を良くし新陳代謝を高める」
といった、特定の美容効果を強調する表現や、科学的根拠に乏しい主張など、身体の一部に作用し影響を与えると捉えられるため、規制の対象となり、医療機器として登録・販売が行われている場合に許可される表現です。
美顔器でも、「肌をなめらかに保つ」「肌の汚れを洗浄する」といった、事実に基づく効果として薬機法上の【化粧品】に認められている表現に限っては、広告表現として取り入れることが可能ですが、広告制限によって製品の訴求力や魅力を伝える上で一定の制約が発生することは否めません。
一方、医療機器は薬機法の規制対象となりますが、その制限の範囲内であれば、疾病の診断や治療に対する効果を広告で訴求することが可能です。
つまり、医療機器としての認証を得ることで、その製品が持つ効能や効果について、より具体的で信頼性の高い表現を用いることができるようになります。
これは、広告表現の幅を広げるだけでなく、製品の汎用性や信頼性を高めるという大きなメリットとなるでしょう。
実際に美容機器を医療機器として登録・販売する際には、これらの規制や広告表現に関する制限をしっかりと理解し、それに適切に対応することが求められます。
そこで次の目次では、美容機器の医療機器登録・販売に向けた新規参入を考えている企業様にぜひ知っておいていただきたい情報をお伝えしますので、ぜひお読みください。
現在、日本国内でも美容器のニーズが高まっています。
長く続いたコロナ渦での生活から、マスクなしの生活が戻りつつある現在、「マスクを外した自分の肌に自信が持てない」といった悩みや「キレイな肌を手に入れたい」という希望を持つ方が増えていることが背景にあると考えられていますが、美容機器業界で成功を収めるためには、競合との差別化を図る有効な戦略が非常に重要です。
このようなことから、目次2でもお伝えしたように、美容機器の医療機器としての登録・販売は、広告表現の幅が広がるだけでなく、製品の汎用性や信頼性を高めるという大きなメリットをもっています。
そしてそのメリットを享受すべく、医療機器へのステップアップを検討している企業様も多いのではないでしょうか。
では実際に、新規参入のプロセスをスムーズに進めるためにはどういった事に注意する必要があるのでしょうか?
・・・・・
それは、
①「医療機器に求められる厳格な基準と要件を理解し、それらを満たす製品開発を行うこと」
②「医療機器は薬機法に基づく規制の対象となる。その法的な要件を満たすための適切な準備と対応。」
の2つをしっかりと網羅していくことです。
しかしながら、これらのプロセスは専門的な知識と経験を要する非常に複雑な課題であり、労力・工数ともに負担の多いものになってきます。
そのため、新規参入時に自社で対応をすることを避け、医療機器開発・製造の知見を持つパートナー企業と連携することを強く推奨します。
医療機器の登録販売の実績に長けている企業のサポートにより、法的要件の理解、適切な製品開発と承認取得のプロセス、そして効果的な広告表現の設計など、新規参入のあらゆる課題が適切に処理され、スムーズな上市が実現します。
美容機器の医療機器への転換に関しては、様々なステップにおいて専門的な知見が必要とされますが、適切な準備と、専門知識を有するパートナーとの進行により、大きなチャンスへと変わります。
これらのアドバイスを参考に、ぜひ新たな市場への挑戦を進めてください。
いかがでしたでしょうか。
時代のニーズを如実に反映し、そしてその可能性も未知数である医療機器業界。
美容機器市場は海外製品の輸入も増えていますが、海外で医療機器としての承認・認証などを得て販売されている場合でも、日本の薬機法に基づいて医療機器として承認等を得る必要があり、輸入にあたっても、日本市場に上市する事業者は医療機器製造販売業許可が必要です。
当社では、国内製品、海外製品問わず、上市までの道のりを丁寧にサポートいたしますので、美容機器をはじめ、その他製品を医療機器として日本国内で登録・販売をご検討の際はぜひお気軽にお問い合わせください。