2022.10.13
以前、当社のコラム「薬事申請とは? 申請の流れや必要なスキルのご紹介」で、薬事申請の基本的な概要等について解説いたしました。
今回は、医療機器の設計・開発・製造と切り離せない薬事承認について当社の実績を交えて、より実務に近い部分をご紹介いたします。
薬事申請とは、開発された医療機器や医薬品を実際に使用するための承認・許可・認定を受けるものです。
申請業務には、そのための情報整理や書類作成~提出等の手続き、そして調査や審査等が含まれます。
薬事申請の流れ
1. 申請書(申請資料)の提出
2. 信頼性調査
3. 審査専門員との面談及び承認審査
4. 製品製造所の調査
5. 厚生労働大臣の承認取得
このように、薬事申請には数多くの項目があり、開発された医療機器・医薬品の「科学的・倫理的な信頼性」を証明するための手続きであると理解しましょう。
しかし、以前のコラムでご紹介したようにスムーズに薬事申請を行うためには専門的な知識、そしてある程度の申請経験が必要とされるため、自社で行うには難しいものがあります。
当社は医療機器設計開発・製造会社として、自社の医療機器の薬事申請だけではなく、当社が医療機器製造販売業者となり、お客様の医療機器の薬事申請を請け負っております。
なお実際に、当社が薬事申請業務において対応する内容は主に以下の通りです。
■製造販売届出書/認証申請書/承認申請書・STED・添付文書の作成
■PMDA/認証機関との均衡
■その他、薬事申請に関する総合的業務全般
-詳細- (参考)
・対象機器の性質に応じた申請戦略の策定とミーティングの実施
・製造販売届出書/認証申請書/承認申請書・STEDの作成支援
・海外からの導入製品におけるIFU/リスクマネジメント関連資料等の翻訳
・臨床評価報告書の作成支援
・登録認証機関のリストアップおよび選定
・PMDA及び認証機関とのやりとり
そして薬事申請代行の流れは主に以下のような流れで進めていきます。
1. お問い合わせ
2. 面談及び製品概要に関するヒアリング
3. 薬事調査、薬事戦略の立案
4. お見積~ご契約~お取引開始
5. 必要資料のご提示(開発段階の製品に関しては、各種試験のサポートも可能です)
※輸入品の薬事申請の際は資料のご提供
6. 申請書類作成
7. 薬事申請
8. 届出、認証、承認の取得
9. 販売開始
こちらでは、実際に当社において対応した薬事申請業務の実績をご紹介いたします。
■医療機器承認、認証、届出件数
クラスⅢ(高度管理医療機器) | 2件 |
クラスⅡ(管理医療機器) | 12件 |
クラスⅠ(一般医療機器) | 13件 |
その他(動物用管理医療機器) | 1件 |
■薬事申請例のご紹介
自社製品となる内視鏡システム「Bird Viewカメラユニット」(クラス分類Ⅱ)の認証申請においては、従来の硬性内視鏡とは構造やコンセプトが異なるため、認証の範囲内であることの証明、また、既存品との比較等のハードルが非常に高いものがあり、附属品を追加するなど、工夫を凝らし無事に認証取得に至りました。
なお当社では、第1種医療機器製造販売業許可を有しており、クラスⅣ(高度管理医療機器)までの医療機器の製造販売申請を行うことが可能です。
お客さまが販売業のみの許可を取得している場合や、都合により自ら認証申請を行えないなどのご事情がある場合でも、当社で認証申請を行い認証取得後にお客さまへOEM供給することが可能です。
薬事申請担当者にとって、どのような薬事戦略を立てるかが薬事申請を成功させるための肝心な部分です。
そして更にその中で特に大切な工程が、一番初めの「一般名称の選定」。
「一般名称」の中には、同じような製品でも異なる一般名称が数多くあり、一般名称によってはクラス分類も変わってきます。
クラス分類が変わり、クラスが上がると、工数費用も上がってしまうため「一般名称の選定」は特に重要になります。
まずは類似品を探すことから始め、そしてそれらの一般名称を特定し、それぞれの一般名称の定義を確認したうえで、定義が一致しているか等、色々と調査をしながら選定していきます。
その他にも必要となる試験等の確認を行い、開発から試験完了までどれぐらいの期間が必要か算出し、クラス分類による申請期間も加味したうえで、上市までの期間を算出します。
このように、薬事申請をスムーズにそして確実に進めていくため、一般名称の選定から始まり、スケジューリング、薬事戦略の立案、実際の申請に必要となる諸業務など、実務の全般を薬事申請担当者が対応していきます。
そして、薬事申請業務において欠かせないものの一つに「チームとの連携」というものもあります。
薬事申請担当者がいる“薬事部”と“技術部(開発・技術チーム)”は、設計段階から連携を図り業務に当たります。
製品仕様や使用方法、各種試験の情報といったものが技術部から提示され、それらを整理し、申請書作成や必要資料の提出等を行います。
そして、“営業・マーケティング部”とも製品開発段階において連携し、
・構想や製品コンセプト
・使用方法
・ユーザビリティ
これらを策定する際にドクター等の医療従事者からのヒアリングを行うなど、製品仕様を一緒に決めていくこともあります。
また、薬事申請においてハードルになる項目に関する調査というものもあります。
特に新規性が高い製品の場合は、クラス分類だけではなく、
・治験の要否
・治験が必要となった際の費用
・上市までの期間
・これらを考慮した上で投資回収ができるか否か、等
薬事部はこのような点についても、承認、認証、届出に向けて他チームと連携しながら対応をする必要があります。
いかがでしたでしょうか。
今回は、薬事申請業務における詳細の業務をはじめ、薬事申請担当者の仕事内容についてもより詳しくご紹介させていただきました。
当社は国内に限らず、海外からの医療機器導入においても、長年の業務経験から積み上げたノウハウで、企業様によって異なるニーズにも対応が可能です。
安全、そして使いやすい医療機器をより多く世の中に普及していくためにお手伝いをさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。